Ｅな！本郷

JA会津みどり本郷直売所。
地域の宝物、凍み餅「もちっ娘」。
昔ながらの作り方と味を守り続ける6人の女性たちに拍手。

福島県大沼郡会津本郷町字横堀下33
（JA会津みどり本郷総合支店隣）
TEL0242-56-2978
■営業時間　午前9時から午後3時
■定休日　　年中無休

天然の甘味料、ステビアを使って。

焼き物の町、本郷を訪れた。「Ｅな！本郷」JA会津みどりの直売所は見渡す限りの田園の中、道路沿いにある。
午前9時、すでにお店はお客さんで賑わっている。木の香りのする店内は天井が高く居心地がいい。「ステビア」「もちっ娘」の貼り紙が目につく。JA会津みどりの長峯トキヨさんと「Ｅな！本郷」会長の鈴木冨士雄さんにお話を伺った。
「ステビアとはハーブの一種でキク科の宿根草です」
加工食品の成分表に出ている天然の甘味料だ。
「葉っぱをかんでみてください、甘いですよ」
鈴木さんがステビアの苗の葉を一枚ちぎってくれた。
驚く甘さだ。ステビアエッセンスは「甘さが砂糖の300倍、カロリーは90分の1。ダイエットにも糖尿病にもいいんですよ」と鈴木さん。抗酸化作用もあり、「りんごを切ってそのままにしておいても赤くならないんです」ステビアを取り入れて収穫したりんごを「ふたつに切って初めてそれを目にした時のことは忘れられません」と長峯さんは目を輝かせる。
「Ｅな！本郷」は去年の10月にオープン。現在65名の会員がおり、鈴木さんを先頭にステビア農方に取り組んでいる｡

おめでとう！「もちっ娘」優秀賞受賞。

「もちっ娘」とは凍み餅のこと。会津地方で昔から作られているこの地域独自の保存食だ。「子供の頃よく食べましたよ」と鈴木さん。
「そのまま食べたり、いろりであぶってしょうゆを漬けたり。昔のおやつだね」
野菜の直売所を始める際、「ここにしかないものを作るのがみんなの夢でした」長峯さんたちの思いは、凍み餅へと注がれる。試行錯誤の末「ここの米を使ってシンプルに、昔ながらの作り方にこだわり」もちっ娘が完成する。 もちっ娘は6人の女性が作っている。
「今、出来たばかりです」
星智子さんと佐藤志真子さんが揚げたてのもちっ娘を抱えてきた。さっそくいただいてみる。煎餅とも餅を揚げたものとも違う。独特のほぐれるようなサクサク感だ。ほのかな甘みと醤油の風味がやさしい。
飲み込むのがもったいない、もぐもぐと口の中で味わっていたい旨さだ。「40代から60代のおばさんたちで作っているんですよ」と智子さん。
「こうした方がいいああした方がいいと、いろんな意見が出ます」自慢は餅を臼と杵でつくこと。
「昔ながらの杵つき餅です。もち米はうちの田んぼで採れたものなんですよ」と志真子さんが嬉しそうに言う。「一人では何も出来ない。6人ひとりひとりが知恵を出し合って出来たものです」
もちっ娘はこの春3月に県加工品優秀賞を受賞する。
「嬉しかったです。みんなで抱き合って喜びました」
おめでとうみなさん。良かったですね。

世界一小さなレストランで、
子供の頃の話しに花が咲く。

長峯さんが案内してくれたのは「世界一小さなレストラン」お店の一角にテーブルと椅子が置いてあり、お客さんへの心づかいを感じる。
「茹でたてですよ」ほかほかの新じゃがだ。
「このサクランボはステビアを取り入れてます」
サクランボの赤がやさしい。
「きゅうりも旨いよ」ザクザク切ったきゅうりの浅漬けに目が釘付けになる。「昔は食べ物を確保するために実のなる木を植えたんだよね」と智子さんが言えば、「そうだそうだ子供の頃、柿を熟さないうちに食べて叱られたもんだ」鈴木さんが目を細める。桑の実、木いちご、スカナ、小さい頃の食べ物の記憶は大きい。新じゃがの塩加減に心踊り、サクランボの甘さにうっとりし、きゅうりの浅漬けにホッとする。
いつのまにか子供の頃の話しに花が咲く。
美味しいものを食べると人は笑顔になる。
みんなで笑顔の元を作っているんだな、ステキな仕事だ。ガンバレガンバレ。