▲さくらんぼ園内
約千本のさくらんぼの樹が続くさくらんぼ園。一歩足を踏み入れると爽やかな風に包まれる。
▲さくらんぼ/赤く色付いた「高砂」
日を追うごとに、「佐藤錦」「ナポレオン」と次々に食べ頃を迎える。
▲種ぬきさくらんぼ/ほんのり甘酸っぱい干しさくらんぼ。 種が抜いてあるのがうれしい。
▲果物を使ったお菓子/がぶりガーデンで採れたいろんな果物で作られる。
▲星健一さんと小由紀(こゆき)さん
「ほらこんなに実がついてるゎ」
「今年もいい実りだなぁ」
さくらんぼ色のエプロンとバンダナがよく似合う小由紀さん。日焼けした顔でちょっと照れ笑いの健一さん。
がぶりガーデン
いちご、さくらんぼ、メロンにプルーン。
もも、ぶどう、りんご。四季を通して召し上がれ。
さくらんぼ狩り日記
6月11日。晴れ。
今日はさくらんぼ狩りの初日。
見渡す限りの園風景の中に「がぶりガーデン」さくらんぼ園はあった。風吹きわたる大きなテントのお店は野外イベントの趣きがあり、なにやら楽しげな雰囲気だ。
爽やかな笑顔の店員さんたちに迎えられる。例年より10日ほど遅い実りだという。テントの下にはテーブルとイスがあり、自由に休むことが出来る。陳列棚には、さくらんぼや果物で作られたお菓子が並んでいる。
さくらんぼ園に入ると冷んやりとした風に包まれた。さくらんぼの樹は枝葉を広げ、たくさんの実を付けている。歩いているだけで気持がいい。深呼吸をしていたら「どうぞもぎ取って食べてみてください」と声がかかった。
どれどれと高いところに手を延ばしポチッともぎ取り口にほおばる。甘酸っぱい香りが口に広がる。もぎたてならではの新鮮な味わいだ。つぎつぎに手を延ばしたくなる。
せっかく来たのだからとまだ色づいていないさくらんぼに手を延ばす。ほのかな青臭い香りと酸味は意外にも充分に美味しい。
「ここでしか味わえないものってこれかもしれない」ふとそんなことを思った。
「ガブっとかじってもらいたくて
この名前をつけました」
もぎとりフルーツ「がぶりガーデン」の社長、星健一さんは日焼けした顔をほころばせ話してくれた。
「学校を卒業して地元の企業に就職したのですが、当時の農家は減反がすすめられていた頃で」星さんの家でも田んぼをどうするか考えていたら「りんごの樹のオーナーにならないかという話しが来たのです」
心を動かされた星さんは約360本のりんごの樹のオーナーになる。21歳だった。「今でいう脱サラです、若かったけれどね。ひいじいちゃんは会津で初めてぶどうを作った人なんですよ。そんなことも影響しているのかな」
その後、収穫した果物を直接お客さまに「どうぞ」と手渡したい思いが実り、10年ほど前に「がぶりガーデン」を開く。いちご、さくらんぼ、桃にメロン、りんご、ぶどう、プルーンなど季節の果物をもぎ取り、その場で楽しむことができるのが魅力だ。
「遠くは九州から毎年バスでお見えになる年配の方々もおられます」お目当てのくだものの収穫時期を心待ちにしているお客さまが大勢いるのだ。
喜んで帰っていただきたいですね。誠意をもってお迎えしたいです」かたわらで奥さんの小由紀(こゆき)さんが笑顔を見せた。
「子供たちに
きちっととした体験を作ってやりたい」
「どんなことでも体験することが必要です。特に小、中学生のうちの体験は大事ですね」星さんの持論だ。
がぶりガーデンでは、果物を使った和菓子づくりから農業まで一年中体験できる企画がある。農業体験では特に民泊をすすめている。
「10人から15人位の小グル−プで、例えば種まきから収穫まで1年を通して3回来てもらえば、きちっとした体験を作ってやれます」子供達は目を輝かせて取り組むことだろう。
「私の家に泊まっていただきます。自然と部屋は充分にありますのでぜひ一度来ていただきたいですね」楽しいですよと話す星さんの目が優しい。