アンティーク うさぎ屋
時代着物・時代箪笥・古民芸…。時代を経て来た「物」に、愛しさを感じる瞬間。
「うさぎ屋」は、ゲームセンターやレンタルCDの店が並ぶビルの一角にある。入口のうさぎが目印。軒先にも時代着物が無造作に重ねられている。
古い日本の布の色彩には、独特の感性が感じられる。古裂の端切れセット(500円~)
品物は店長が全国のアンティークショップや骨董市を回り、買い付けてくるという。主に明治・大正時代の物が多い。
買い付けも行っている。
「古い物なら、なんでも扱います」と店長。
身近に置いて、愉しみたい
かわいらしい骨董品が並ぶ店。
「会津壹番館」の向かい側のビルの1階に、小さな骨董品屋さんができた。「骨董品屋」というより「骨董品屋さん」と言いたくなるような店構えだ。
名前は「うさぎ屋」。軒先には、明治・大正の時代着物が吊され、大きなざるに年代物の小皿や小鉢が無造作に入れて置いてある。
店内には、時代箪笥や可憐な縮緬や華やかな友禅の帯、焼き物や手づくりの小物などが並べられている。
「主に時代着物や古民芸品を扱ってますけど、そんなに高級なものはないですよ」
と、店長である若い女性が言う。
友禅の帯や縮緬の着物は確かにそれなりの価格だが、時代箪笥は小さなもので2,000円~、時代着物は500円~と、確かにリーズナブルだ。
「そんなに良いものではないので…」
と、店長は言うが、この店にある品物は充分魅力的だ。
「うさぎ屋」に置いてある物は「財産」として蒐集する骨董品やアンティークではない。どれもが身近に置いて楽しむことができる物だ。無造作に重ねられた時代着物には、確かに染みやほつれがある。時代箪笥にも傷がある。しかし、そこには年月を重ねてきた物だけが醸し出す風合いがある。
眺めていると、愛しさがこみあげる。
時代を経てきた「物」の魅力。
「うさぎ屋」で、懐かしい物を見つけた。
華やかな色彩の布を張り、飾り紐や根付けを付けた小物入れ、函追(はこせこ)だ。もともと江戸時代の武家の娘の鼻紙入れとして使われていたものだ。今でも花嫁衣装の装飾として、懐剣と一緒に胸元に挿してあるのを目にする。
ふと、祖母に手渡された函追のことを思い出した。それは金糸で花模様を縫い取った朱色の布地で、飾り紐と小さな匂い袋が付いている物だったが、決して上質な物ではなかったし、年月を重ねて飾り紐も色褪せていた。
その函追を見ていると、胸が痛くなるような愛しさを感じるときがある。祖母との想い出につながるのはもちろんだが、函追が経てきた年月に愛しさを感じるのかもしれない。
人から人へ伝えられ、時代を経てきた物は愛しい。「うさぎ屋」には、そうした品々がたくさん集められている。
時代箪笥の上に置かれた色褪せた函追、飾りの欠けたかんざし、無造作に重ねられた時代着物。時代を経てきた物たちが、今「うさぎ屋」の店内で、静かに休息をとっている。
誰かの手に渡り、その人の身近に置かれるとき、それらの物たちは、もう一度「物」としての光を取り戻すのだろう。
アンティーク うさぎ屋
会津若松市中町3-53会津ロイヤルプラザ1F
TEL(0242)26-3209
営業時間/PM1:00~6:00
定休日/不定休