きものギャラリー 凛
アジアの布を使って、日本の「着物」をつくる。
歴史ある街から今、新しい文化が生まれようとしている。
インドネシア産の「凛」オリジナル編みかご(3,800円~)
やしの実のコインケース(1,800円)
タイシルクのショール(1,900円~)
お買得品や年に数回のセールもある。
アジア・アフリカの布を使った着物(23万~)ほとんど1点物。インドの山繭を使ったシルク地は手触りもしなやかで、着心地も良い。着物に合うアクセサリーや小物も置いてある。
うさぎを縫いとった大正浪漫風の帯。
こちらも武藤さんの父上のデザインだ。
アジアに魅せられた呉服屋がつくる
アジアの布を使った着物。
「京都の人は、新しいもん好きなんや」
「ギャラリー凛」のフロアを歩きながら、ふと京都の友人の言葉を思い出した。
店内には、タイシルク・インド更紗・アフリカの布などを使って仕立てた着物や帯が整然と並ぶ。アジア・アフリカの文化を「着物」という日本の形に仕立てた「ギャラリー凛」の世界は、新しくて不思議な魅力をはなっている。
1階の「小袖屋」では、タイ・インドネシアを中心にしたアジアの布や生活雑貨、アクセサリーなどを販売している。ここ数年、アジアンテイストや和風モダンがブームになっているが、ここにあるものは、そうした「トレンド」ではない。どれもが高品質で実用的、大人の女性でも生活やファッションに取り入れることができるものばかりだ。販売している商品は、店のマネジメントをしている武藤さんが年に2~3回、タイやインドネシアに赴き、買い付けてくるという。現地の品物のほか、現地で創った「凛」のオリジナルもある。
「父親と一緒にタイを旅したことがありまして、タイに惹き付けられ、留学したんです」
と武藤さんは言う。実は「凛」の着物のほとんどは、武藤さんの父親がデザインしたものだ。昔は呉服屋だったが、アジアに惹かれ、アジアの布を使った着物を創りはじめたのだという。
伝統と歴史ある街だからこそ
新しい文化をつくることができる。
「平安の昔も元禄の頃も、京都は当時の日本の最新流行の発信地だったんや」
だから、今も京都人の中には「新しいもん好き」の血が流れているのだと友人は言う。
武藤さんの話を聞きながら、友人の言うとおりかもしれないと思った。歴史ある街こそ、新しい流行や文化に敏感なのかもしれない。
「凛」には、オリジナルの刺子の着物もある。黒い着物の裾に、渦巻とも幾何学模様ともとれる模様を白糸で縫いとったものだ。デザインは斬新で大胆だが、刺子の伝統的な手法を用いて創られている。
刺子も着物もアジアの布も、何100年という伝統を持っている。やはり京都も会津も、新しいようで古いのかもしれない。そう考えて、それも違うかもしれないと思った。
歴史ある街だからこそ、自分の国の伝統や文化を大切にすることができるし、異国の伝統や文化に対しても同じように敬意をはらうことができる。そして、その中から新しい文化を生み出すことができるのかもしれない。
アジア各地の布や衣装が大切にコレクションされている3階を歩きながら、そう思った。
きものギャラリー 凛
会津若松市七日町2-48
TEL(0242)28-0800
営業時間/AM10:00~PM7:00
定休日/不定休