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外観 くるみそば

くるみそば 900円
冷たいくるみそばもあるが、地元の人は温かいつゆに山くるみを溶かして食べているそうだ。

とちもちあられそば

とちもちあられそば 1,200円
揚げたとちもちは、とちの実の風味が楽しめる。すっきりとしたつゆとの相性も抜群だ。

丸膳そば

丸膳そば 3人前2,250円~
丸形の御膳に盛られた3人前のそばをすすりながら、会津の地酒を愉しむも良し。

軒先

おみやげ品が並ぶ軒先では、じゅうねん味噌の焼きだんごや岩魚の串焼きの焼きたてが味わえる。

大内宿

こめ屋

会津のごちそう、餅と蕎麦。
おもてなしの心で守る文化の味。

南会津郡下郷町大字大内字山本16-3
TEL(0241)68-2926
■営業時間/AM8:30~PM4:30
■定休日/無休 ※冬は不定休
●食堂

おもてなしの心と、満足のボリューム。

「昔からこのあたりでは『餅、蕎麦の御馳走』といって、祝い事や遠来の客をもてなすときには必ず出される食べ物なんです」と、こめ屋のご主人・吉村さんが教えてくれた。
「おいしいおもちですね。これは良いもち米を使っているのですか?」と尋ねると「うちで作ったもんだよ。自分ちで使うくらいは自分で作らないとなぁ」と、吉村さんは笑いながら答えた。きなこもち、ずんだもち、おろしもちなど6種類が味わえる。
「からしもち」は、みたらし醤油に和辛子を加えたもので、香りの良さが食欲をそそる。意外にさっぱりとしていて、一口食べるともう一口、もう一口と頬ばってしまう、クセになる味だ。

そば処で有名な下郷町の猿楽大地にある、室井利夫さんの畑で栽培されたそばを使い、地粉100%につなぎ1割を加えた十一そば。一目でわかるのは、他のそば屋で出される量よりもはるかに多いということだ。一人前180gのボリュームがある。せっかく来てくださったのだから、お腹いっぱい食べて欲しいという、おもてなしの気持ちがあってのこと。「おろし揚げもちそば」は、たっぷりのおろしとつゆにからめてそばと揚げもちが楽しめ、これもまたクセになる一品。大内宿に来るたびにこれを食べていく旅行客も多いそうだ。

大内宿を守るため、第二の人生を選んだ。

「実は私、5年前までは下郷町役場の職員だったんですよ」
そば打ちはいつ頃からですかと聞くと、こんな意外な答えが返ってきた。
吉村さんは、役場の職員として地域おこしのためにさまざまな活動に取り組んでいた。だがそこで、茅葺き職人の減少により、大内宿の茅葺き屋根が保存の危機に立たされていることを知った。茅葺き職人は重労働な上に、生計を立てられるほどの収入は得られないため、なかなか後継者が現れない。残っている職人は70代以上の高齢者ばかりだった。
「だれかがこの文化を守っていかなければ」
そう考えた吉村さんは、茅葺き職人の親方のもとへ弟子入りするため、役場を退職。第二の人生を歩み始めた。
それから5年が経った今もなお、修業を重ねながら守るべきこの大内宿で店を構え、この場所で暮らしている。
「茅葺き屋根は昔の人が残してくれた芸術作品ですからね。いつか大内宿が世界遺産になるまで、できる限りのことをしていきますよ」
最後にそう話してくれた吉村さんの言葉には、力強い使命感が満ちあふれていた。