会津地方で、母から娘へと伝えられるそば打ちの技術。うち立てのそばは、コシがあり風味も豊か。
山形屋オリジナルそば地ビール(500円)と、肉質の良い会津産桜さし(800円)も味わい深い。
「岩魚の骨酒」(900円)
燻した岩魚のおいしさが熱燗にジュワ~っとしみ込む。
体が温まるだけでなく、栄養も抜群。
手焼き煎餅 各110円~。
味も形も違うたくさんの種類の煎餅が、軒先に並ぶ。
山形屋
受け継がれゆくもの、創造してゆくもの。
南会津郡下郷町大字大内字山本43
TEL(0242)68-2932
営業時間/AM8:30~PM5:00
定休日/不定休 ※冬期は要予約
●民宿 一泊二食付 7,500円、9,000円 ●食堂 ●おみやげ
受け継がれてゆく技と味。
店先から店内を覗くと、女の人がそばを打っている姿が見えた。会津では女性がそばを打つと聞いてはいたが、実際にその姿を見るのは初めてだ。
母から娘へ伝えられるそば打ちの技術。そば打ちをしていた女の人は「そば粉は毎日状態が変わるから、だんごにすんのも難しいんだ」と言いながら、あっという間に粉をだんごにしてしまう。彼女の腕には長年の経験があるのだろう。
山形屋のそばは契約栽培農家で作った地粉100%につなぎを一割加えた十一そば。一度に十人前分程の量を打つのだが、作り置きをしていないため、常に打ち立てのそばが味わえる。力を込めて打たれたそばにはコシがあり、歯ごたえがある。
旨いそばには旨い酒が合う。「岩魚の骨酒」は、岩魚の味が酒にしみ込んだ、まさに旨い酒だ。じっくり燻製した岩魚を囲炉裏で炙り、熱燗を注ぐ。体が温まるだけでなく、岩魚も食べられるので満足感がある。寒さ厳しい会津に生きる人々の知恵が生み出した酒なのだ。
新しいものを生みだしてゆく知恵。
「会津には郷土料理がたくさんある。だけど地元の産物を活用すればもっと新しいものを創っていける。私はそう思うんだよ」と、女将の浅沼弘子さんは言う。
山形屋のオリジナル「そば地ビール」は、まさにその発想が生みだしたものだ。南会津ブルーイングカンパニーのマイスター、ジョン・シュルツ氏の協力のもと、会津産そばと麦芽を合わせて作られた「バックウィットブラウン」。クリーミーな泡立ちで、口あたりが良い。甘みと苦みを兼ね備えた濃厚な味だが、後味がすっきりとしていて旨い。
店頭に並んでいる煎餅も、自家製の商品。一枚一枚炭火で焼いた煎餅に、味付けをしたりさまざまな加工をする。また、その場で焼きたての煎餅を味える大内丸(250円)が人気。
醤油、辛子、ごま、梅かつをなど種類もさまざま。郷土の味わいを活かしたじゅうねん味噌煎餅もぜひ試して欲しい。