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ソースかつ ホルモン焼き

ねぎそば 900円
長ネギを箸代わりにしていただくそば。つゆの甘みとネギの風味の絶妙なバランスがとれた味わいある一品。

看板牛乳

とちもち 各700円(2個入り)
あんこ、きなこ、ごまの3つの味わいが楽しめる。

大根干し

昔ながらの茅葺き屋根の家屋は、囲炉裏で暖をとっていてあたたかい。

おかみさん

女将の浅沼房代さん。78歳になった今でも、元気にお店で働いている。

おかみさん

大和屋

食べ継がれたとちもち、ねぎそばの味わい。

南会津郡下郷町大字大内字山本6
TEL(0241)68-2911
■営業時間/AM8:00~PM5:00
■定休日/無休
●民宿 一泊二食付 7,000円 ●食堂 ●おみやげ

会津の郷土料理、とちもち、ねぎそば。

長ネギが丸ごと一本器にのっている「ねぎそば」。
会津では昔、結婚式などの祝い事は客を家に招いて行っていた。そばは最後に必ず出されるおもてなし料理だったという。「ネギを箸がわりにしてそばをすする」というのは、その頃からの風習だったそうだ。
そばは地粉を使った二八そば。大和屋では3人のそば職人がそれぞれの作業に分かれてそば打ちをしている。太めに仕上げたそばに、だしの良くとれた甘みのあるつゆがからむ。
「とちもち」は、大和屋のもうひとつの名物料理。皮の硬いとちの実をひとつずつ手でむき、時間と手間をかけてあく抜きをしてから、ようやく蒸かすことができる、それを餅とつき混ぜて作る。ほのかな茶色をしたとちもちは、とちの実の豊かな風味がある。きなこ、あんこ、ごまなど、すべて手づくりの5種類の味がで楽しめる。
昔の会津地方は冷害で米がとれないことがよくあった。とちもちはまさに、会津の人々の知恵によってできたこの土地ならではの郷土料理なのだ。

大内宿に新しい風を吹かせた女将の想い。

明治17年に国道121号線が開通すると、それまで栄えていた大内宿からは客足が遠のいた。それによって大内宿の人々は農業、林業へと移っていった。 この店の女将・浅沼房代さんも女手ひとつで農家を切り盛りしていた。だが畑仕事に忙しい房代さんの家には、遠来の人や近くの労働者が毎日のように「何か食わせてくれ、泊めてくれ」と訪れていた。 「こんなことなら民宿でもやろうか」。房代さんはそう決意し、昭和45年春、「民宿大和屋」を始めた。保健所からの許可を得るため家の一部を改装したが、ほとんどは300年前に建てられた茅葺き屋根をそのままを残した。 「村が生きていくためには、昔の建物を保存していく必要がある。いつかきっと、国の文化財として認められる日が来ると思ってな」 大和屋に続いて一軒、もう一軒と民宿を始める店が増えていった。そして房代さんの店の開業から約10年後の昭和56年、大内宿は伝統的建造物群保存地区に指定された。 房代さんは現在78歳。今も毎日元気に店に出ている。 「たくさんの人が来てくれるようになってなぁ、よかったなぁ」 房代さんはそう言って、外を歩く観光客を見つめながら顔をほころばしていた。